ドンジニアのできるまで

特に理由はありませんが、ドンジニアの製作プロセスを紹介します。

全体の流れ

  1. シノプシスを書く
  2. プロットを書く
  3. ラフを描く
  4. 担当編集にレビューしてもらう
  5. 清書する
  6. ペン入れ
  7. 色彩設計
  8. 彩色
  9. 画像を comico 向けに変換
  10. 画像をアップロード
  11. パーティータイム

以下、各工程を順に見ていきましょう。

1. シノプシス(あらすじ)を書く

僕は日頃ネタを思いつくと、Evernote に記録しています。

昔はアナログのポケット手帳に書いていましたが、あとで PC に取り込むのが面倒なので、ここ5年は直接 Evernote に書いてます。ほかのメモアプリもいろいろ試しましたが、適当に突っ込んでタグ付けで整理できる点で Evernote がベストでした。動作がやや重いですが。

さておき、これらのネタの断片を元に、シノプシスを書きます。

このステップでフリからオチまでが決まります。ネタの取捨選択は行わず、面白そうなアイディアはすべて並べておきます。

2. プロットを書く

シノプシスを元に、プロットを書きます。コマ単位で、セリフ、シーン、カメラアングル、画面効果などを設定します。

人によってはラフの工程でセリフや構図を決めるようですが、僕はプロットの段階で決めます。理由は以下。

3. ラフ(ネーム)を描く

プロットができたら、 CSP (Clip Studio Paint) でラフを描きます。

プロットの段階でコマ割りは確定しているので、それに合わせた絵をざっと描いていきます。

セリフとフキダシも描きます。絵の重要な部分にフキダシが重なって見えなくなるのを防ぐためです。僕は Clip Studio Paint EX を使っているので、ストーリーエディター 機能で、前工程で作ったテキストから一気にセリフを流し込みます。

ラフを描いている途中で、プロットより面白いアイディアを思いつくことが多いです。その場合、フリとオチを壊さない範囲でネタを修正します。

なお、僕は遠近法を描く能力が全く無いので、背景や複雑なオブジェクトは SketchUp でモデリングし、その画像を CSP にコピペして使います。このソフトが無かったら、僕は漫画を描けません。全コマがピカソの『ゲルニカ』のようになるでしょう。

4. 担当編集にレビューしてもらう

ここまで描いたら、全ページを JPEG 画像に変換して、担当編集に送ってレビューしてもらいます。

僕の漫画は、基本的に1話完結なのでストーリーが矛盾しづらく、内容もナンセンスで指摘しようがないので、ほとんど修正されたことがありません。編集者は仕事のし甲斐がありません。

レビュー結果が「OK」になったら、次のフェーズに進みます。

5. 清書する

余計な線を削除し、ペン入れできるレベルまで整えます。構図を整え、キャラの線にリズムが出るよう意識します。

脳が一番疲弊するフェーズです。この工程に1日8時間以上費やすと、脳が勝手にシャットダウンします。

6. ペン入れ

清書で描いた線を、ペンでなぞります。

ここは一番気持ちいい工程です。円や曲線をリズミカルに描けると、手塚治虫やウォルト・ディズニーが降霊した気分になります。(幻覚)

7. 色彩設計 (カラースクリプティング)

シーンによって光源の色が変わる場合、キャラの色も変わります。これをアニメ業界用語で「色替え」と言うそうです。例えば、日中の室内と、夕暮れの屋外とでは、同じキャラでも全く違う色になるので、シーンごとに色を決める必要があります。

僕の場合は、まず色替えが発生するコマを探し、カラースクリプティングしていきます。上の例では、「室内オフィス」と「管制室」で色替えが起きています。それぞれのシーンごとに色を塗ったら、使った色を「カラーパレット」レイヤーに記録していきます。コマの枠外にある丸がカラーパレットです。

ちなみにどうやって色を決定するかですが、僕は「ガマットマッピング」というテクニックを使っています。なぜか日本語の解説記事があまりネット上に無いのですが、僕は『カラー&ライト ~リアリズムのための色彩と光の描き方~』という本で学びました。簡単に言うと「使える色の範囲を限定して、色選びを楽にするテクニック」です。ただし慣れないと、やたらと彩度の低い、色の濁った画面になりがち。

8. 彩色

前のフェーズで作ったカラーパレットから色を拾いながら、残りのコマの色を塗っていきます。頭を使う余地はなく、ひたすら単純作業です。外注したい。

キャラや背景を塗りつぶしたら、同時にテクスチャーを貼り、ぼかしなどエフェクトも加えます。

全コマで同様に作業して、ようやく作画完了です。

9. 画像を comico 向けに変換

前工程までで完成した漫画は、1ページにつき4コマが横に2本並んだ構成になっています。しかし comico は縦読み漫画なので、4コマを縦につなげる必要があります。

そのため、まずは CSP から Photoshop 形式で画像を出力した後、Photoshop 上で以下の作業を行います。

  1. 4コマを縦に繋げる
  2. comico の横幅に合うように画像を縮小する
  3. JPEG 形式で保存する

『ドンジニア』は全ページが4コマなので、ひたすら同じ選択範囲を切り取って縦につなげていくだけで完成します。僕は Photoshop マクロ (ドロップレット) を作り、PSD ファイルをドラッグ&ドロップするだけで作業完了するようにしています。楽です。

10. 画像をアップロード

comico 公式作家用のシステムを使って作品をアップロードします。アップ後、編集担当が確認し、問題なければ公開予定日に公開されるようセットされます。

11. パーティータイム

もはや僕を縛り付けるものは何もありません。解放の歓びを全身で味わうため、ビートに身を委ねて踊り明かします。


こうして改めて見てみると、漫画を描くのって超めんどくさいですね。『21エモン』で登場した、脳内のイメージが直接漫画として出力されるヘルメット、一刻も早く開発されてほしいです。