テレビ東京のゆる~い旅番組には、「見なくても全然いいけど、見たらかすかに面白い」という独自のポリシーを感じます。
実家にいた頃、メシを食べながら見るテレビは、たいていテレ東でした。特にゴールデンタイムによく放送する、ゆる~い旅番組が好きでした。実家を出てからはテレビを一度も買っていませんが、『孤独のグルメ』を Amazon プライムビデオで見ていました。
ゴールデンタイムの番組といえば、大半は大げさな演出で楽しませようとしてくるものです。芸能人が大騒ぎしたり、仕込みだらけのシナリオをなぞったり。
しかしテレ東の旅番組には、そういったところが全くありません。力が抜けきっています。レポーターが、それほど高くないテンションで、温泉に入ったりメシを食べたりして、「いいね」というだけ。僕はメシを食べながらその画面を薄らボンヤリ眺めながら、「良さそうだなあ」とボンヤリ思うのです。
サプライズも意外性も無い、マイルドな面白さ。インパクトが無いため評価されることは少ないですが、そうした温度の面白さを出すには、大笑いを狙うのとは異なる技術が必要です。
僕は漫画を描く時、つい技巧を凝らしてインパクトを狙ってしまいがちです。しかしテレ東のエンターテインメントに触れると、「刺激が無くても面白いものがある」と気付かされるのです。