スモーキン・ブギ

僕は20歳の時からタバコを吸っています。20歳の頃に若者特有の精神錯乱状態に陥り、安定を取り戻すために、タバコ屋に行って3000円のパイプタバコセットを買い、スモーカーになりました。

普通は紙巻きタバコから始めるものだと思いますが、僕はパイプタバコから始めました。その理由はいろいろとあります。


まず紙巻きにしなかった理由ですが、当時、実家の父親がヘビースモーカーで、マズイ紙巻きタバコの臭いを家中に充満させていたので、紙巻きに良い印象がありませんでした。それに加え、パソコンばかりやっている僕は紙巻きタバコに片手を塞がれるのが耐えられなかったためです。

そしてパイプを積極的に選んだ理由は、敬愛していた藤子・F・ゴッド・不二雄先生がパイプスモーカーだったためです。あの素晴らしい発想は、恐らくパイプとベレー帽から流入しているに違いないと考えました。完全に勘違いですが。(ちなみにベレー帽は買ったものの頭がムレて痒くなるので、通気性の良いイスラムキャップに替えました)

さらに、今は閉鎖してしまいましたが、とあるパイプ職人のブログにも影響されています。タバコに対する強烈なこだわりが満ち溢れている文章に強く興味を惹きつけられたのです。「赤い光を出したり白い煙を吐くやつはタバコの吸い方を分かっていない」「パイプは吸う人間を選ぶ」「クールスモーキングができるようになって初めてタバコの味が分かる」といったように。こんなに奥深いならやってみたら面白そうだな、と思いました。


こうしてパイプスモーカーになった僕ですが、精神錯乱状態はさほど変わりませんでした。タバコを吸いつつサックスばかり吹いて留年するなど、迷走し続けました。それでもパイプタバコの豊かな香りや抗うつ作用によって、完全な精神崩壊は避けられたと思っています。当初の目的は一定は果たせたといえるでしょう。


いまタバコを吸っていない人にわざわざ喫煙を勧める気は全くありませんが、何らかの理由で始めるなら、僕はパイプをお勧めします。紙巻きより初期投資はかかるもののランニングコストが安いですし、両手が空きますし、味と香りは紙巻きより豊かですし、バリエーションも豊富です。薄らぼんやりとパイプをふかしながら海外ドラマを延々と見ていると、静かに満たされた心地になります。


まあ、ヤニ臭が衣服に付くと周囲の人に文字通り煙たがられるので、そこは気を使う必要がありますが、マナーを守って喫するぶんにはいいんじゃないでしょうか。良い喫煙は、生活に潤いを与える文化です。