Comico登竜門でのドンジニアのコンセプト

『ドンジニア』が第3期Comico登竜門でまさかの4位にランクインし、公式連載が決定しました。全く予期していなかった結果です。ご支援ありがとうございました。

登竜門で連載するにあたり、ベストチャレンジ時代から描き方を一部変更し、新たなコンセプトに挑戦しました。登竜門が終わったので、ここいらでネタばらしをしておきます。

非エンジニアでも楽しめるようにする

『ドンジニア』は主人公がエンジニアであり、何も考えずに描くと専門用語やマニアックな知識だらけになってしまいます。実際、ベスチャレ時代は伊勢がやたら専門用語を使っていました。エンジニアの人からすると面白いと感じるかもしれませんが、「分かる人だけ楽しめる」という内輪ネタの空気が出てしまいます。

それでは不愉快なので、登竜門では「エンジニアらしさ」は感じさせつつも、できるだけ非エンジニアでも楽しめるように心がけました。具体的には、専門用語を極力出さないようにし、非エンジニアでも実感できるネタを意識しました。

余計な小ネタを除去する

ベストチャレンジの頃は「面白いと思うものを全部ぶちこむ」というコンセプトで描いていました。そのため、描いているときは楽しいのですが、後から読み返すと小ネタが散らかりまくりで、メインのシナリオがぼやけているケースがありました。

この反省により、登竜門ではメインシナリオと無関係な小ネタを減らし、スムーズに読めるようにしています。個人的にはこちらの方がシンプルで奥深くなったと思います。

ちなみにベスチャレ時代は、話のタイトルが全てセロニアス・モンクの曲名から付けられていたのですが、これも無意味なので止めました。

色で遊ぶ

色使いがうまくいくと、読者に強い印象を与えられます。例えば障害発生時に警次郎(ケージェイ)が光り、あたり一面が真っ赤に染まると、非常事態な感じが強まります。

シンプル&リッチ

登竜門は週間連載だったので、不定期連載だったベスチャレと同じ作業コストをかけていたら過労死します。だからと言って労力を減らしすぎて、原始人の壁画のようなクオリティにしてしまうのは問題です。

なので、「できるだけシンプルな絵で、それでいてリッチに感じる絵」を心がけていました。ただ線を減らしたり背景を省略するだけではダメです。ディズニーのように、シンプルだけど躍動感を感じさせる線を目指しました。

水沢で異常さを際立てる

新入社員の水沢は、ベスチャレ時代には1回しか登場していないのですが、登竜門ではレギュラー化しました。「何も知らない社会人見習い」という役柄の水沢がいることで、山田や伊勢の異常さが際立ちます。読者は「やっぱり山田はイカれてる」ということを思い出すことができます。

ただ、僕は山田や伊勢のような人を、単なるイカれた人として描きたくないので、人格を疑ったり否定するようなツッコミは控えています。彼らみたいなクセのある人達でも、ありのままの自分でいられる世界を築きたい。そう、『ドンジニア』のテーマは “Let It Go” です。いま決めました。


公式連載開始にあたり、より面白くなるように、新たなコンセプトを試す予定です。リスクを恐れずにどんどんやってしまうのが『ドンジニア』です。ときに実験に失敗してスベることもあると思いますが、ヌメッとスルーしてください。